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気持ちいいコの字型の木の家


冬の晴れた日、Mさんのお宅を訪問しました。

この家が建つ敷地は南北に細長く、南面は隣の家ととても近いため、課題になるのは明るさと風通しです。そこで半田さんの出した答えは、家の中心に中庭を配置して、コの字型の間取りにすることでした。


1Fは道路側にオフィススペース、中庭をはさんでLDKスペース、そして2つのスペースを結ぶ「この家で一番気持ちいい場所」とMさんがおっしゃるベンチスペース、3つのスペースが中庭を囲みます。ベンチスペースは移動のための廊下であり、ゆったりと中庭をのぞむベンチスペースであり、床にごろ寝もできる縁側のような場所です。そして大きな木製建具を開け放つと、中庭と一体となって、たちまち大きな外のリビングに早変わりします。




床の素材は杉のフローリングです。Mさんが床でごろごろして気持ちいいのは、柔らかく暖かい杉が貼ってあるからです。杉は傷がつきやすいですが、人の肌に触れて心地よい素材で、床に近づいた「低座」の暮らしに適しています。さらにMさんのお宅では、床下にエアコンを設置して建物を暖めるしくみが特徴で、冬でも家全体が心地よい温度に保たれています。


中庭はコの字型で、お隣との間はプライバシーを守るためと防火のためにコンクリートと光を通すポリカーボネードの壁が設けてあります。この壁が中庭のシンポルツリーの背景になり、凛とした風景をつくりだしていて、ベンチスペースにいつまでも座っていたい・・・そんな気持ちにさせてくれます。


もう一つの特徴は屋上のデッキスペース。視界を遮るものがなく、ぐるりと見渡しのよい空中スペース、空気が澄んだ日には富士山も望めるそうです。ここはただ、気持ちいいだけではありません。この屋上へ行く階段室が、夏の間、この家の風通しに一役かっています。暖気は上へと上がっていくので、階段の上りきった一番高いところにある窓を空けるとスーっと風が通っていくのです。



環境からデザインまで様々な工夫がつまった木の家、拝見させていただき、KINOIESEVENメンバーも大変勉強になりました。住み心地や住んでみての発見などを教えてくださったMさんご夫妻、ありがとうございました。


(設計:半田雅俊設計事務所・半田雅俊/レポート:小野育代建築設計事務所・小野育代)

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