本当に木に囲まれた家

Updated: Oct 13, 2018



内観写真:室内は木で溢れた設計となっています。

マツザワ設計・松澤静男さんの設計は「とにかく本気で木を使う」ということでしょうか。KINOIESEVENのメンバーは、それぞれ木が好きで、いろんな使い方、アプローチで木を取り入れていますが、松澤さんは、本気度が違うような気がしています。


玄関とアプローチ:ガルバリウム鋼板と焼き杉の外壁です。大屋根の大らかな印象です。

今回見せてもらった「上尾の家」も、なかなか思いつかないようなアイデアで作られた家でした。緑が多い風景のなかに建ち、大きな屋根の掛かった姿は大らかな印象です。ガルバリウム鋼板の屋根、外壁の仕上もガルバリウム鋼板と一部を焼杉を使って仕上げています。


◾️400本の柱を使った家

列柱詳細:杉の列柱が建物をぐるりと囲んでいます。左はサッシが付く前で右はサッシが入った状態です。

この住宅の一番の特徴は、外壁を柱の列柱でくるんでいることでしょうか。構造を担う柱の外側に「柱」をギュッと隙間無く敷き詰めるように並べています。建物の外周グルッと敷き詰めて、その数なんと400本とのこと。この柱が、室内側の仕上になり、断熱材の補助機能も果たします。材料は、埼玉県産材・秩父材とのことで、輸入材に頼らず、更に県産材を活用するという、松澤さんのコンセプトを実現した材料選びになっているようです。


◾️B級グルメ

2階内観写真:写真に見えるダクトは、太陽の暖かさを利用した集熱装置です。室内の温熱環境の向上のため採用されたものです。

今回使われた柱は製材所から弾かれたような材料なんだとか。 松澤さんはよく「B級グルメの家」なんて言いますが、構造と関係ない部分に材料を有効利用するスタンスはとても興味深いです。(と言いつつも、キレイな印象の材料でしたが、、、、) 日本には杉がたくさん余ってるんだから使ったら良いんだよ、と言われたのを思い出しますが、こんな使い方があるんですね。それと、外壁の仕上に一部「焼杉」を使っていますが、節(フシ)が多くて見た目の悪い部位を焼いてしまうことで、防虫や腐食に強い材料に転化するするという、これまた有効活用の材料を採用しているようです。


◾️長期優良住宅

南側の外観:薪ストーブの煙突が印象的です。庇が深く東西は高さを絞ったキレイなプロポーションです。

一般的には変則的な仕様の住宅に思いますが「長期優良住宅」を取得しているんだそうです。「長期優良住宅」は、大きくは構造の性能と断熱の性能を求められます。構造的な検討と断熱性能の計算を行って、一定の基準を満たして完成しています。列柱による断熱だけで無く、その外側にも付加断熱が入っていたり、基礎部分にも断熱材を巡らせたり、高性能な住宅でもあるようです。


◾️階段の工夫


階段詳細:階段の中壁は無垢材を使って薄く仕上げ、手摺は皮付きの丸太を採用しています。

松澤さんの階段は広めな設計になっています。今回は回り階段ですが、中央の壁を薄くして、その分有効巾を大きくする工夫が施されています。この壁自体も杉の厚板を使い、大工さんが溝を掘り階段板を納めるような技を駆使しているようですね。また、手摺に皮付きの細い丸太がくっついていますが、数寄屋のような遊び心が伺えます。


ヒアリング中:右が設計者の松澤静男さん、左がレポーターの石黒です。

ダイナミックで大胆な木の使い方に感心しました。ご夫婦と子供2人が暮らす住宅だそうです。訪ねたのは真夏でしたが、薪ストーブの用意もあるそうで、冬の今の時期には大活躍でしょう。


こちらは松澤さんが過去に設計を手掛けたおそば屋さんです。帰りがけに寄らせてもらいました。たいへん美味しい蕎麦でした。そして、内部の意匠は大きな吹抜と上品な仕上材料で、高級感を感じました。この日見学させてもらった「上尾の住宅」と「蕎麦・ぐらの」、共通するのは「ダイナミックさ」かな、、、、と感じて帰途についたのでした。


(設計:マツザワ設計・松澤静男/レポート:BUILTLOGIC・石黒隆康)

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